懐かしさと想像力・ジブリの立体建造物展@ハルカス美術館に行ってきた

スタジオジブリの作品では何が好きですか?

私は今でも「となりのトトロ」が一番共感できるし、一番好きです。

共感対象はサツキですね、私も「お姉ちゃん」なので。それと親が病気で入院している心細さ。

その間は祖母に育てられたので、私はカンタのおばあちゃんが登場すると、なんかそれだけで泣けてしまいます。

トトロの好きなポイントは、音楽と背景画です。

特にあの田舎の景色にはたまらなく懐かしい気持ちになります。

父方の祖父母は秋田市に住んでいたので、美術の男鹿和雄さんが秋田出身と聞いた時には「やっぱり!」と思ったものです。

実際は時代もちがう(トトロの舞台は昭和30年代前半)し、あのような景色の中で育ったわけではないのですが…エッセンスを感じるんですね。

トトロ以外のジブリ作品も大好きで、いつも物語の舞台となる街並みや建築物にはわくわくします。
細かい部分が好きなんです。

東京に住んでいた時は、もちろん三鷹の森ジブリ美術館に行きました。

そんなわけであべのハルカス美術館で開催されている「ジブリの立体建造物展」はずっと楽しみにしており、さっそく見て来ましたよ。

「ジブリの立体建造物展」概要と私的アドバイス

この展示では「風の谷のナウシカ」から「思い出のマーニー」まで、背景画や美術ボードなどの制作資料約450点と、いくつかの立体模型を鑑賞することができます

立体模型となっているのは、上のポスターにもなっている「千と千尋の神隠し」の油屋、「となりのトトロ」のメイとサツキの家、「崖の上のポニョ」の宗介の家など。

詳細は以下のとおりです。

会場:あべのハルカス美術館(あべのハルカス16F)
展示期間:2017年12月2日(土) ~ 2018年2月5日(月)
開館時間:10:00~20:00
<当日観覧料>
大人:1,500円
大学・高校生:1,100円
中学・小学生:500円

期間中の休館日は12月11日と元日のみで、それ以外は大晦日も開館しています。

先週の2日から始まったばかりで混雑していると思い、私は平日の16時をねらってみました。

列に並ぶことなく入れましたが、まあまあ人はいますね。

ただ展示はじっくり見られる程度ですし、騒がしい子どもがいなかったので、静かに堪能することができました。

会場内には有料の音声ガイドがあり、建築家の藤森照信さんと声優の柊瑠美さんが各作品の建築物の特徴や面白さ、汲みとれる監督の意図などを説明してくれます。

1台税込520円(ペア割り800円)ですが、使用する価値ありです!

建築家目線の解説はとても分かりやすいし、目から鱗のポイントもたくさん。

理解が深まるので、音声ガイドのご利用、本当にオススメです!

「リアリティーは細部に宿る」

ジブリのアニメといえば、キャラクターが暮らす家や街並みの美しさ・細やかさ、そして発想力に毎回息を呑みます。

入ってすぐのゾーンに「アルプスの少女ハイジ」のジオラマがあるのですが、ハイジたちの暮らす山小屋のみならず、牧場、その下部にある村や裾に広がる町、鉄道、etc.物語の舞台の全貌が立体としてあることに、まず感動が広がります。

と同時に、その綿密な設計に心底驚かされます。

これは細部にこそリアリティーは宿るという信念のもと、高畑勲氏、宮崎駿氏がスイスに赴き長期にわたりロケハンして生み出された世界だそうです。

でも本当にすごいのは、アルプスのように実在する地ではない、空想上の建造物です。

ラピュタしかり、ハウルの城しかり…。

中でも三メートルほどある油屋は、複数のモデルが存在するとはいえ、人間の想像力がここまでの構造物を生むのか…!と衝撃でした。

内観も信じられないくらい細かくて。
襖や天井の柄など、ため息が出るほど精巧にデザインされつくしていました。

油屋は、一つの建物にあらゆるものが詰まっている気がします。

和風・洋風・中国風のごちゃまぜ。

煌びやかな湯婆婆の部屋(上階)とボイラー室(下階)の対比。

立派な唐破風のある正面と、建物の裏側との対比。

そう、この油屋の裏側がまた、ものすごく印象的なんです。
従業員たちの部屋がある部分なんですが、崖のような壁に木造のバラック住宅がひっついているような不思議な構造。

油屋はどんなによく見ても見たりなくて、何周もしてしまいます。

すると気になってくるのが、「この中にはいったいどんな人が居るんだろう?今何をしているんだろう?」ということ(映画観てるから知ってるけれど)。

そうしたら、宮崎駿監督がこんなことをおっしゃっていました。

僕は建物に対する興味というよりは、建物の中に入っている人間のほうに興味があるほうだと思います。

だからこそ、物語が広がっていくんだな、と思いました。

私は個人的にキッチンという空間に惹かれるので、「耳をすませば」月島家のダイニングキッチンにも心わしづかみにされました。

ダイニングキッチンというのは、戦後の都市の住宅不足を解消すべく創設された公団住宅が最初に採用したそうですね。

月島家は立体ではなく絵でしたが、そのリアルな生活感にしばらく見入ってしまいまいました。

だって今にもガスのツマミを回せそうだし、食器かごからはカチャ、という音が聞こえてきそうなんですよ。

これらの絵や模型をまだまだ見ていたくて、本や雑誌は買わない主義の私が思わず図録を購入。

これから読み耽りたいと思います。

おわりに~懐かしさは大切な感情~

この展示で最も心に残ったのは、「懐かしい」と思うのは、人間にとってとても大切な感情であるということです。

なぜなら、懐かしさはアイデンティティーに直結しているから。

人の記憶というものは途切れたり忘れたりするもので、すべてを覚えているわけではありません。

かつて見たもの、聞いた音、匂いなど、様々な”懐かしい”記憶が過去を呼び起こすことで、自分という人間を再確認できる。

私は一枚の絵や写真、一つの建物から、何時間でも空想をしていられる子どもだったし、今でもその癖が抜けません。

ジブリ好きにはもちろん、そういうタイプの人間には本当にたまらない展示です。

ジブリの立体建造物展、2月まで開催されていますから、足を運んでみてはいかがでしょうか。

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