ハルカスの完成によってスタイリッシュに様変わりした天王寺ですが、ここを起点に今もチンチン電車がのんびり走っているのは、なんだかほっとする光景です。
大阪の路面電車「阪堺電車」は100年以上の歴史を誇る府民の足で、大阪市と堺市をつないでいます。
恵美須町~我孫子道を結ぶ阪堺線と、天王寺駅前~浜寺駅前を結ぶ上町線があり、どこからどこまで乗っても、1回の乗車で210円という料金体系です。
しかしこのチン電沿線、ゆったり旅するにはもってこいの見どころ多い沿線で、一日かけてのんびりまわりたいもの。
そこでオススメなのが全線1日フリー乗車券「てくてくきっぷ」です。
てくてくきっぷは600円で乗り放題なので、3回以上乗る場合はお得です。
よく見るとTEKUTEKUではなくTAKETAKE…テイクテイクをテクテクと読ませたいのかな。
この切符はスクラッチ式で、乗車する年月日を1ヶ所ずつ削りとって係員に見せるシステム。
私は12月1日に利用したのでこうなっています。
降りる時だけ、運転士さんにこのパスを見せますよ。
阪堺電車の最大の魅力は、のんびり旅ができること。
ゆっくり走るので、端から端まで乗って街並みを眺めるのも楽しいんです。
現在私は大阪市民ですが、かつては堺市民でもありました。
そこで今回は、そんな私が実際にてくてくきっぷで巡ったコースをご紹介します。
谷町在住ですので、大阪メトロ谷町線で天王寺まで行き、そこから阪堺上町線に乗車しました。
以前は天王寺からの乗り換えが分かりにくかったですが、工事も終え今は分かりやすくなっています。
【天王寺駅前→東天下茶屋】安倍晴明神社
私たちがまず向かったのは、天王寺駅前から3駅の東天下茶屋。
ここから晴明生誕の地と伝わる場所にある安倍晴明神社までは、歩いて5分もかかりません。
のどかな住宅地にありながら、そこはかとなく神秘的な雰囲気を漂わせていました。
ここのぎゅっと神聖さが凝縮されたような不思議な空気感が好きです。
すぐ脇にふつうのアパートが建っていて、思いのほか小さな敷地に驚いたのですが…
1007年創建のかつて有力だったこの神社、一時は小さな祠と石碑のみのに衰退してしまった歴史があり、大正最後の年に現在の社殿が竣工、復興を遂げたのだそうです。
阿倍王子神社の末社になっており、そちらもここから50mほどの所にあります。
本殿奥にある、流造の屋根。
等身大という安倍晴明像と、葛之葉霊狐の飛来像。
母親が霊力をもった白狐であったという伝説があるのを初めて知りました。
また晴明にちなみ、社務所には占い相談コーナーなるものもありました。
【東天下茶屋→住吉鳥居前】住吉大社
続いて向かったのは住吉大社。
東天下茶屋から7駅の住吉鳥居前で降りると、鳥居はすぐ目の前です。
灯籠の大きさとこの反橋、何度見ても圧倒される。
このサイズ感。
反橋は渡るだけでお祓いになるんですって。
橋の頂上から。
国宝である本殿は第一~第四本宮までありますが、参拝の順序は特にないそうです。
いつも地元の方々が熱心に参拝されていますが、この日は結婚式や七五三でさらに賑わっていました。
住吉さんといえば航海の神・港の神ですが、境内外に多数の摂社・末社があり、商売の「発達」を願う「初辰(はったつ)」まいりでも有名です。
ところで、第一本宮の南側に五所御前というところがあります。
その囲いの中には小石が敷き詰められ、「五」「大」「力」という漢字の書かれた石が混ざっています。
この三つを集めてお守りにすると五大力、すなわち体力・智力・財力・福力・寿力が授かり、願いが叶うと言われています。
私も探し集めました。
五大力石守袋は社頭で購入できますよ。
願いを叶えて、来年小石を倍返しに行きたいと思います(自分で見つけた小石に五・大・力と書いてお返しするのです)。
【住吉鳥居前→宿院】浪花亭でランチ
住吉大社を出るとお昼時だったので、ランチをすることに。
宿院駅で降り、徒歩5分ほどのれすとらん浪花亭(なにわてい)へ。
創業はなんと昭和20年!の老舗で、堺山之口商店街にあります。
上のメニューのように、安くて美味しい♡
友人の頼んだCセット。これにライスが付きますよ。
私はハンバーグ(分けてくれたカツがキャベツに乗ってますが)とポタージュスープをそれぞれ単品で頼みましたが…おいくらだと思いまして?
ハンバーグが330円(!)、ポタージュが150円、ワンコインでお釣りがくるのですから驚きです。
ランチも終わりかけの時間に行きましたが、まだまだ賑わってたし、テイクアウトしに来たお客さんも何人もいらっしゃいました。
店員さんも朗らかでテキパキして、とても気持ちの良いお店です。
ランチの後は堺山之口商店街を北の端まで歩きました。
この商店街は阪堺電車の線路とほぼ平行で、北の端に大小路駅、南の端に宿院駅があります。
開口神社に立ち寄ってみると、西門の狛犬が親子でした。初めて見た!
太平洋戦争の空襲で全焼したため再建され、新しく見える境内ですが、創建は奈良時代まで遡る由緒ある神社です。
いくつものお社や塚、与謝野晶子の歌碑などがあり、知識欲を刺激されます。
【大小路→浜寺駅前】浜寺公園&福栄堂
商店街歩きの後は、チン電南の終着駅・浜寺駅前まで行ってみました。
ゴトゴト揺られながら窓の外を見ているだけでも旅行気分で楽しい。
浜寺駅前には5,500本もの松林で知られる広大な浜寺公園がありますが、台風21号の爪痕がまだ生々しかったです。
ばら園があり、12月に入ってさすがに秋の薔薇も枯れかけていましたが、満開の頃はとても美しいですよ。
園内を少し散歩しました。
この公園の歴史は非常に興味深いので、ぜひさわりだけでも調べてみてください。
帰りは駅からすぐの和菓子屋・福栄堂さんへ。
明治40年の創業から変わらぬ看板…重みを感じますね。
松露だんごとちん電どら焼きを買いました♪
松露だんご、きめ細かなおだんごがしっとりした餡でくるまれていて、美味しかった。
【浜寺駅前→天王寺駅前】
お土産も買ってホクホクしたところで、上町線を今度は北へ。帰路につきます。
上町線の南端・浜寺駅前から北端の天王寺駅前までは、49分。
往路とは反対の席に座って堺~大阪間の景色を眺めます。
古い長屋や商店街、緑豊かな公園に神社仏閣…様々な面が見えてきて、乗りっぱなしも楽しいですよ♪
まとめ
というわけで今回は実際に私が12月1日に巡ったコースをご紹介しました。
計5回乗ってますから本来は1,050円。
600円のてくてくきっぷはどこでも何度でも、好奇心のおもむくままに乗り降りできる自由度の高い切符です。
ぜひ有効利用してくださいね!
そして今度は、大阪市と堺市の両方に住んだ経験を基に、私的おすすめコースをいくつか紹介したいと思います!
乞うご期待!!