<大阪生まれの作家>で私がぱっと思いつくのは川上未映子と東野圭吾、万城目学。
川上さんは芥川賞、東野さんは直木賞をそれそれ受賞されており、万城目さんは何度も直木賞の候補になっています。
そしてそう、その直木三十五も大阪出身なんですね。
空堀近くに引越してきて初めて知りました。
空堀商店街からちょっと入ったところに、直木三十五記念館があります。
詳しい地図はこちら↓
複合文化施設「萌(ほう)」の2階です。
記念館内は撮影禁止ですが、この戸を開けると右の壁沿いには棚があり資料が展示されています。
内装は黒で統一されていて、これは直木自身が晩年に設計した横浜の家をモチーフにしているそうです。
そして左側はドーンと畳敷き。
何畳くらいあるのかなあ、一部屋分はあるし座布団も用意されているので、他にお客さんがいないとゆっくりくつろげちゃう。
これは畳に腹ばいになって書く直木の執筆スタイルを反映したものだそうで、実際に畳の上で原稿に向かっている写真もありました。
写真といえば、直木がフクロウと写っているのが印象的だった。
そのフクロウ、直木自身が飼っていたそうで、普通に部屋でくつろいでいる彼の傍らにフクロウがいるんです。
ところで「直木三十五(さんじゅうご)」というペンネームですが、名字は本名「植村」の植の字を分解したものだということは知っていました。
でも面白かったのは、ここで公開されている芥川龍之介に宛てた手紙には「直木三十三」と署名されていたこと。
31歳の時に「直木三十一」と名乗り、歳をとるたび直木三十二、三十三と改名していったそうです。
ところが三十四の姓名判断の結果が最悪だったため、そこをとばして三十五にして落ち着いたんだとか。
なんて(良く言えば)自由な人なんだ!
早稲田大学は除名されたのに登校し続けて、ちゃっかり卒業写真にまで写っているし。
借金もたくさん残しているし。
ずいぶん破天荒な人だったようです。
直木がマキノ省三の元で映画の脚本を書き、監督した作品もあることを初めて知りました。
その中には乱歩原作の『一寸法師』があり、無声映画だけどこれは観てみたいなあ(私は乱歩育ち)。
彼が書いたという落語も展示されていて、それも面白かったです。
くつろいで読書もできる!
館内の座敷には本棚があり、直木自身の作品だけではなく、実弟の東洋史学者・植村清二の著作や、直木賞受賞作品が並んでいます。
部屋の外側にもライブラリが。
これらは手に取って読むことができるんです。
私は今回、山口洋子『老梅』を読んできましたよ。
短編一本ならその場で熟読できるのがいいですね。
入場料は200円なので、たまに読書に来るのもいいかもと思いました。
直木賞受賞作はけっこう読んでいるけれど、直木三十五本人についてはよく知らず、ググってみたことはあります。
その時の印象は「自分勝手な人だなあ」でした。
でもこうして「人」を感じられると、がぜん興味が出てきます。
文学関係の記念館というと堅苦しいイメージでしたが、何度でも訪れたいように作られています。
ここを作った方々の気持ちも伝わってくるようで、良い記念館だなあと思いました。
開館時間 11:00〜17:00
休館日 毎週水曜日
入場料 大人200円(小学生以下100円)
近くには直木三十五文学碑も!
直木三十五は大阪市の中央区(当時は南区)安堂寺町ニ丁目の生まれだそうで、ご近所です。
引越してきた翌日にふらっと散歩に行くと、長堀通にとても気になる坂道を見つけ、曲がってみると直木三十五文学碑がありました。
直木の代表作「南国太平記」の一場面が刻まれています。
坂のすぐ上には、樹齢およそ650年の榎木大明神(実際は槐の木だそうです)があります。
このスポット大好き。
記念館から歩いてすぐなので、ぜひ併せてお立ち寄りを。